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トリノ(ミラノ)の休日 [二日目]

2/9。
開会式は明日。一日余裕を持っての到着でよかった。
こんな体調でハードなスケジュールはこなせそうにない。
夕べはたっぷり睡眠を取ったし、咳はまだ出るけどそれ以外は体調もすこぶる順調だし、よしよしいい感じ。
と、いうわけでフリーの今日はミラノでショッピングと洒落込むことにした。
ミラノの郊外にあるこのホテルからは「ミラノ中心街に」送迎バスが出ている。
ミラノ駅までではないところがポイントだ。
この点もまたJ○Bにだまされた!と、思ったところだ。
以後、帰国するまで繰り返しJ○Bを恨む出来事が次々と浮上してくるのだが、二日目はこんな感じ。
送迎バスと言っても日本のホテルのように立派なバスではなく、7・8人が乗れるワゴンが使われているだけ。夕べタクシーに乗ったときも思ったのだが、イタリアを走り回っている車は総じてちっこい。
二人乗りの車なんかもけっこう見かけたし、大柄なイタリア人が乗る車としては意外な感じだ。
小回りがきくからだろうか。
送迎バスは20分程で夕べ降り立ったカドルナ駅に到着。明るい中で見るとここは空港線のみならず、いろんな路線が集まっているようだ。
送迎車の運転手は英語がほとんどわからなかったようだが、車を降りてさてどこへ行こうとウロウロしている私達に身振りと単語のみの英語を駆使して「ここをまっすぐ行って右へ5分程行くとレオナルド・ダヴィンチの***(聴き取れなかった)があるよ」と、教えてくれた。
親切な人だ。
近いので我々は取りあえずその「レオナルド・ダヴィンチの***」に向かってみる事にしたが、道を間違えたのか何やら裏通りに出てしまった。
特に行きたいところでもなかったので道を取って返し、では明日のトリノをひかえてまずはミラノ駅で切符を予約し、その後ブランドショップが林立してい るドゥオモ広場界隈に行きましょう、ということで地下鉄に乗ることにした。

地下鉄!

小心者の私はイタリアに来る前に治安のチェックを特に念入りにしていたし、J○Bの担当者からも「とかくスリや置き引きが多いので気を付けるように」 と、聞いてビクビクしていたのだ。
その「スリや置き引き出没地帯」の最たる場所のひとつに挙げられていたのが地下鉄。
できればこの交通機関は利用したくないなあとまで思っていたのだが、どうや らいきなり利用せざるを得ない状況になったようだ。
のんきに改札への階段を下りていくIちゃん、カバンを斜め掛けに掛け直し、「よし!」と、気合いを入れて向かう私。
もうなんというか「やじきた珍道中」である。

気合いを入れて改札に着いたものの、切符の買い方がわからない。
自動券売機のようなものがあるのだが、目指すチェントラーレ駅(ミラノ中央 駅の最寄り駅)が見つからない。
私達の前にその自動券売機で切符を買おうとしていた男性二人組も外国人観光客らしく、
「おかしい・・・」
「チェントラーレ駅がない!」
などと言い合った挙げ句、 通りがかった女性に「チェントラーレ駅までの切符はどうやって買ったらいいのか」と、聞いていた。
私は「チェントラーレ」と、いう単語が聞こえた時点でこの人達もチェントラーレ駅に行くらしい事がわかったので、じっと動向をうかがっていた。
(英語のわからない人間が外国へ行くと、ものすごく勘がよくなる。単語がひとつわかっただけで全ての状況や会話が把握できた、なんてことも度々起こる。この時もそうだったようだ。)
さて、女性はどうやら「売店で切符を買いなはれ」と、言ったらしく男性達は 売店に向かった。売店は何やら行列ができていたので、私達もマネして売店に並んでみると皆、売店のオジサンに小銭を渡して切符を受け取っている。単純作業なのでオジサンは一定方向に視線を据え、機械的に切符を手渡していた。
ものすごくアナログな切符購入だなーと感心している内に自分達の番がまわってきたので「チェントラーレ!」と、言った。オジサンはなぜかギョッとし、「1ユーロだ。チェントラーレはLINE2(2番線)だから、ここをずっとまっすぐに行け」と、いうような事を身振り入りで示してくれた。
オジサンがなぜギョッとしたのかはすぐにわかった。地下鉄はどうやらどこに行くのも1ユーロらしく、だから皆切符を買うのにいちいち行き先など告げないのだ。
しかし安い!
どこに行くにも1ユーロ(140〜150円)とは。
ちなみに3ユーロ出せば一日券が買える。
さあ、いよいよ地下鉄だ。目を光らせて周囲をうかがうとみんな怪しく見える。
「スリにやられました。けっこう普通の身なりをしてましたよ」
「子どもだと思って油断しました。いつの間にかカバンを開けられてたんです」
イタリアの「トラブル体験談」にはこのように書かれていたと思う。
怪しい・・・どなたもこなたもみーんな怪しい!!
と、挙動不審になっている私を皆が怪訝そうに見るから怪しく見えるのかもしれない・・・。
悪循環?
ぎくしゃくしながら固い座席に座っていると、ものすごくスレンダーな美女が 隣に座った。友人と思しき美女も向かいに座ったがふたりはモデル仲間なのかもしれない。
Iちゃんも「よねちゃんの隣に座った子、すごいきれいだったねー」と、言ってたし。
列車が順調にチェントラーレに向かっている中、突然男性がアコーディオンを弾きだした。
アコーディオンを弾きながら移動した先には女性が立っていて、アコーディオンに合わせて陽気に歌い踊り出した。
よくある光景なのか皆、あまり興味を示さない。うさんくさそうに顔をしかめる人までいる。男性は一曲終わるなりつぶれた紙コップを取り出してお客の周りを歩き始めた。ちょっとしたパフォーマンスに対してお金をおくんなさい! と、いうことだ。
ど、どうしよう。こういう場合は払うのが普通?
平静をよそおって様子をうかがっていると、けっこう払ってない人もいるようだ。お金を取り出す為に財布を引っ張り出すところを見せるのもなんだか不安だしここは払わないことにする。
目の前を紙コップが流れていった。ぴたりと止まってあくまで支払いを促されたらどうしよう、と内心ドキドキしていたのだが儀礼的に流れていったのでホッとし、私はこういう光景は慣れてるんですよと、ばかりの態度で興味を示さないふりをした。

「ガイドブックは人目のつくところで広げちゃいけないんだよね。目をつけられるから」などととかく「日本人観光客」であることをあまり主張したくない私は怯えていたのだが、一方のIちゃんは慣れているのか無頓着なのか「えーっと、チェントラーレはー」と、ガイドブックを広げ、あまつさえそのガイドブックに付いているB3サイズはあろうかという「地下鉄路線図」をガサガサと大きく広げている。
もっとも、私もその路線図がないとお手上げ状態なので「は、早くしまわないと。早く!」と、思いつつも為す術もなく、ただ周囲をキョロキョロと見張ることぐらいしかできない。

さて、チェントラーレ駅で無事に下車し、地上に上がるとそこはすぐミラノ中央駅。東京駅と丸ノ内駅のような関係、だろうか?
明日のトリノ駅までの切符を買っておかないと万一乗れなかったりしたら・・ ・
開会式が観られない!
そんな事態は絶対に避けなければ。
ガイドブックにも「早めに切符は予約しておきたい」と、あったし。
窓口に並んでいる間に、メモに予め「2月10日 11時頃 トリノ行き片道二枚  2等車」(feb.10 about 11:00a.m. per Turin soro andata Due seconda classe)と、イタリア語と英語のチャンポンでたどたどしく書き付けておいたしこれで切符購入もスムーズね。
と、思ったがあっさりと「当日券しか出ない。明日おいで」と、これまたイタリア語まじりの英語で言われてしまった。何のためにここまで・・・。
このまますぐに移動するのもしゃくなので駅近くをあてもなく散歩などしてみた。
本屋があったので日本同様、喜んですぐに入店。当然だが読めない本ばっか。 たまに謎の漢字が羅列されたオサレ写真集なども並んでいる。
絵本のコーナーに行ってみると愉快な仕掛けがいっぱい付いた絵本が置いてある。一通り遊んでみてから双子の姪用に一冊購入した。当然イタリア語なんであるが仕掛けものなのでそれなりに楽しめるだろう。
それから地下鉄で中心街に移動。ここからはIちゃんの得意分野なので任せて従うことにする。ブランドショップが軒を連ねるモンテ・ナポレオーネ通り。「アルマーニ」本店がいきなり登場。それに「ドルチェ&ガッバーナ」「プラダ」「ヴィトン」・・・私でも知っているような高級店がいっぱいだ。
「フェラーリ」の専門店まであって、男性達が目を輝かせながら入っていく。

「こっちも入っていい?」「ここも!」憶することなく高級店にガンガン入っていくIちゃんの後ろになんとなく付き従っている感じの私。
旅先にスカートを持ってきたのは初めてかもしれない私。
そもそも私にとっての旅とは主に山や田舎を巡り、その合間に街でちょこっとかる〜くショッピング(しかもお土産が中心)というものだ。
町中でもあっちの建造物、こっちの遺物とガシガシ歩き回るし。
スカートで旅、というのは考えにくい。
あり得ないと言っても過言ではないくらい。
そんなわけでこの高級店を渡り歩く為にスカートを持ってきたものの、足下はよく履きこんだ登山靴(ハイキング用のソフトタイプ)。どこまでも都会にしっくりこない私なんである。なのでさまざまな店を歩いている内に気疲れしてきた。皆が私の足下を見ているような気がするのだ。

「浮いてるよなあ、絶対・・・」

靴だけでもよっぽど買おうかと思ったぐらい。
が、風邪で既に体調を崩していた私は現地でオペラ鑑賞をするという野望も既に諦め、残る日程はスキー観戦や開会式と行ったアクティブな内容ばかり。
いらんよなー、オサレな靴なんて!これ、この瞬間さえ我慢すれば靴は必要ないのだ。

一方のIちゃんは膝丈のヒラヒラしたスカートにショートブーツ。ブーツですよ!石畳も何のその。軽やかに渡り歩き、高級店も恐れずさっさと入店。
「あ!このブランドこんなところに!」
「有名なの?」
「神戸にもあるよ・・・」
ああ、冴えない私・・・。どこまでも。
「タニノ・クリスチー!やっぱ日本より安いわあ」
良いブーツが欲しかったのよね、と数足試着した後、ぽんとお買い上げ。ひえー。
そう、昔からIちゃんの買いっぷりには敬服する。
一緒に「キャサリン・ロス」に寄った時も「コート欲しかったのよねー」と、鏡の前でちょっと体にあてただけで買おうとし、驚いた店員に「あの、一応試着をしてはどうでしょう・・・?」と、言われる始末だったし。
一方の私は有形の買い物に対しては金離れがすこぶる悪い。
数千円の革の手袋にもウンウン迷う始末だ。
日本人も大勢来店するというその店の店員はしきりに日本語で「カワイー、カワイー」を連発するがかえって興ざめだ。
ピンクだけでいいのか、黒も一緒に買わないか、というのを断ってピンクだけお買い上げ。
それだけでもずいぶんとエネルギーを消耗したような気がする。

「よねちゃん、アルマーニカフェでお茶しない?」Iちゃんははしゃいだ声で言ったがさすがに断った。
この界隈のカフェの中でも特にオサレなモード系の人々が集っていたアルマーニカフェ。どうしても登山靴&くたびれたジャケットで入店する勇気がない・・・。Iちゃんは恐いもの知らずだ。
と、いうか彼女の服装なら全然OKだろうしね。

その後、入店した「Max&co.」では今までの高級店よりも気楽に服を選びやすい雰囲気だった為に勢いでワンピースを購入。腰にひもがあり、結ぶ位置を間違うと下腹がぽっこり目立つ、着こなしがむずかしそうな服だ。
旅の勢いってこわい。日本では恐らく買わないであろうその服を勢いで買ってしまったのだから!
嗚呼、日本の「キャサリン・ロス」でもっと納得いったワンピースが買えただろうに。と、いう冷静な判断力が働くのは帰国してからだ。
イタリア人は大ざっぱなのか、「ではこれで」と、決めたワンピースのひもをズルズルと床に引きずりながらレジへと運んでいった。
キャー、やめてえ。

それにしてもミラノは乾燥しているなあ。また咳がひどくなってきた。マスクをして歩いているとなぜか人の視線が気になる。
プラダの店にいたっては、ドアを開けてくれた店員があからさまにジロジロ。
遅まきながら気付いたのはどうやらヨーロッパの人々はマスクをしないらしいということ。だから私のマスク姿はひどく奇異に映るらしいのだ。
ヨーロッパの人は風邪引かない?いや、そんなわけないやね。引いたらどうしてるんだろ?無防備な状態だと他人にすぐうつっちゃうやん!
しかし、人の注目を浴びることが大嫌いな私はすぐさまマスクをはずしてしまった。
埃っぽく、陽が沈むとぐっと冷え込む石畳に乾燥した空気。これで結局体調はまた悪化することになるのだが、ハイになっていたその時は気付かなかった。

ドゥオモ広場に出た時にカメラを取り出した途端、たちまち怪しげな男性がふたりが近寄ってきた。あまりトロトロ歩いていると目をつけられると思い、ブランドショップが並ぶ慣れてないはずの道も堂々と歩いてきたので、特に妙なのに寄られることもなかった。(あるいは貧相に見えたからかもしれない)
が、カメラを取り出すやこれである。恐るべし日本人のカメラ好き。スリなのかぼったくりなのか単なる冷やかしなのかよくわからないが、なぜか鳩の餌を差し出しながら近寄ってくるのだ。餌を買えと言っているのか一緒にやれと言っているのか・・・?
小心者の私はそそくさと走ってその場を離れたが、Iちゃんは笑いながらその場にとどまって頭をすぼめている。ふたりはIちゃんを取り囲み、餌をつかんだ手を突きつけて何か言っている。
この間に財布をすられたりするのかも!と、ついつい「No、No、No!」と、大声でわめいてしまった。

その後、適当に入ったカフェでわけもわからずに注文したフォカッチャなど食べ、その後も精力的にデパートや専門店を見てあるき、すっかり疲れてしまった。
夕食はホテルにタクシーで戻り(送迎場所がわからなかったので!)ホテルのレストランで食べた。
疲れのせいで食欲もあまり出ず、目の前に並べられたきれいなチョコレートも少ししか食べられなかったのがもったいなかった。

部屋に戻ると折り紙で折った入れ物ごと1ユーロは回収されていた。よしよし。折り紙は気に入ってもらえたようだ。
「よねちゃんて、なんだか細かい気遣いするのねえ」Iちゃんは感心し、そして若干呆れてもいるようだった。

明日はいよいよこの旅行の一番目的開会式の日だ。
まさかうっかりはしゃいでしまったこの日の疲れが影響するとも知らず、満足して就寝。

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